リッチコンテンツが流行りの昨今では、画像のような視覚的要素はあって当たり前のもの。画像の質を担保することは、コンテンツの質を高くすることと同義です。
※リッチコンテンツ:動画やアニメーションなどの動的要素があるコンテンツ
また、画像SEO (画像の最適化) によって画像検索からの流入が増えれば、通常のオーガニック検索にも良い影響を与えます。
この記事では、画像検索・SEOに有効な施策をまとめて紹介します。文章や情報だけでなく、画像も使ってアクセスアップを図りましょう。
画像SEOに注力するメリットは?
画像SEOに力を入れるべき理由は、なにも画像検索のためだけではありません。画像を最適化することで、通常のSEOやユーザビリティの向上にも影響があります。
具体的には以下のようなメリットがあります。
- オーガニック検索で画像が表示される
- 画像検索からの流入アップが見込める
- ユーザーがコンテンツを理解しやすくなる
オーガニック検索で画像が表示される
文字よりビジュアル (画像や動画) が重視されるジャンルでは、検索結果に画像がよく表示されます。たとえば、以下のようなジャンルが分かりやすいですね。
- ヘアースタイル
- ファッション
- インテリア
- アウトドア
- 旅行
- イラスト
- アダルト
…etc
自分のサイトが該当するかは、狙うキーワードのオーガニック検索を見れば分かります。タイトルの下に画像が並んでいたり、画像検索枠が差し込まれているなら、そのキーワード (ジャンル) は画像が重視されています。

反対にこれらが全く出てこないジャンルなら、画像SEOの重要性は “まだ” 低いと考えられます。
ただし、検索結果における画像の出現率は年々増えており、2022年からはPC検索でもサムネイル画像が表示されるようになりました。今後もさらに画像の重要性は高まるはずなので、今の内から対策をしておくのが良いでしょう。
※参考:GoogleがPC検索にサムネイル画像を表示
画像検索からの流入アップが見込める
既に画像検索による流入があるサイトは、画像SEOに力を入れることで更なるアクセスアップが見込めます。
目安として画像検索による流入が検索流入全体の10%以上であれば、画像SEOには特に注力した方が良いでしょう。

なお、画像検索による流入数は、Google Search Console の「検索パフォーマンス」から確認できます。今後の画像最適化を考える上でも参考になるので、今一度確認してみましょう。

ユーザーがコンテンツを理解しやすくなる
何か実体のある物を説明する際、テキストより画像を見せた方が分かりやすいことがほとんどです。
たとえば、特定のメーカーの車を文章で表現しようとしても、ほとんどの人はうまくできません。そもそも、話し手・受け手の両方に専門知識が求められてしまいます。
しかし、画像で見せれば誰もが「こんな車なのか」と理解できます。きっと「見たことある!」という人も出てくるでしょう。

また、実体のない概念を説明する場合も、長い文章よりもインフォグラフィック (図や表) の方が、ユーザーは内容を理解しやすいはずです。
ユーザーがコンテンツを理解できるかどうかは、直帰率や離脱率にも直結します。結果的に、SEOにも少なからず影響を与えるでしょう。
画像SEOに効果的な15の施策
画像の最適化で、直接的な影響があるのは画像検索だけです。しかし、オーガニック検索に差し込まれる画像検索枠や、ユーザー行動の変化から、SEOに少なからず良い影響を及ぼすのも確かです。
画像SEOで意識するポイントは以下の15個です。画像検索はアテにしていないという人も、ぜひ一度自分のサイトを振り返ってみてください。
オリジナル画像を使う
Googleは画像検索の結果にバリエーションを持たせたようとしているので、画像素材の流用で上位を取るのは困難です。
たとえば、”厳島神社” というキーワードで画像検索した場合、上位10件はほぼ違う構図・色合いの写真が出てきます。

撮影できるものが鳥居ぐらいしかないため、”厳島神社” は画像の差別化が難しいキーワードですが、それでも上位の画像にこれだけ差異があるのは、それだけ Google の画像解析の精度が高いということでしょう。
つまり、既存の画像と同じものは評価されないということです。画像検索で上位を狙うなら、オリジナル要素はほぼ必須となります。
写真であれば自分で撮影する、イラストは自分で描くか Illustrator や Canva などで作ることをおすすめします。

独自性が求められるのはコンテンツSEOと同じですね
ファイル名は分かりやすく


Google に画像内容を正しく理解してもらうために、画像のファイル名は分かりやすいものを設定しましょう。
名前を付ける際は、ひとまず以下のポイントだけを抑えておけばOKです。
- 意味の通る名前になっている
- メインの被写体の名前が入っている
- 空白 (スペース) を使わない
- 日本語は避けた方が無難(環境次第ではトラブルの元に)
代替テキストを設定する
代替テキスト (alt属性) は画像内容を説明するためのテキストで、HTML における img タグの alt 属性にあたります。WordPressであれば、画像ブロックやメディアライブラリで設定可能ですね。
<img src="image.jpg" alt="代替テキスト">
代替テキストを設定することで、SEOやユーザービリティの観点では以下のようなメリットがあります。
- 画像の表示に失敗しても内容が分かる
- 読み上げソフトが音声に起こせる
- 検索エンジンが画像内容を理解しやすくなる
- リンクとして使われる際のアンカーテキストになる
ちなみに、Google は「代替テキストは画像検索だけのランキング要素だ」と言っていますが、この発言はSEO業界からも懐疑的に見られています。
代替テキストがSEOのランキング要素になるかはともかくとして、ユーザー目線であった方が良いものなのは確かです。簡潔で分かりやすい代替テキストを設定しましょう。
良い例:簡潔で分かりやすい
<img src="cat-playing-catnip.jpg" alt="ねこじゃらしで遊ぶ猫">
悪い例:代替テキストがない
<img src="cat-playing-catnip.jpg">
悪い例:キーワードの詰め込み
<img src="cat-playing-catnip.jpg" alt="猫 ねこじゃらし メインクーン 子猫 ぬこ キャット">
キャプションを設定する


画像の前後にキャプション (注釈) を付けることで、Google やユーザーに画像の内容を伝えることができます。
alt 属性とは異なり、キャプションは画像と一緒に表示されるため、画像からは分かりにくいことを補足するという使い方をするのが良いでしょう。
前後のテキストを最適化する
Google は周辺のテキストからも画像内容を判別します。そのため、画像周辺に関連したテキストを書けば、より正確に画像のテーマを伝えることができます。
また、文脈と画像を一致させることは、文章の読みやすさを向上にも繋がります。ユーザビリティの観点からも、画像と前後のテキストには関連性を持たせましょう。
SEOで評価されるコンテンツへ改善
画像検索のランキング要素は画像だけではありません。その画像が設置されているページ (コンテンツ) の内容も、画像検索に大きく影響を与えます。
例として “富士サファリパーク” の画像検索を見てみると、オーガニック検索 (自然検索) で 1 位の公式サイトが、画像検索でも上位をほぼ独占しているのが分かります。


断言しますが、オーガニック検索と画像検索には相関性があります。画像と一緒にコンテンツも改善していかなければ上位表示は難しいでしょう。
オーガニック検索でも上位を狙えるようなコンテンツを作り、その上で高品質な画像を設置しましょう。
高画質な画像を使う
ユーザーの目を惹くためには、ガビガビな画像よりキレイな画像の方がいいですよね。
しかし、画質とファイルサイズはトレードオフの関係にあります。高画質な画像を使う際は、ファイルサイズが大きくなりすぎないように気をつけましょう。


画像の中身が直接影響する訳ではない
ウェブ検索においては、画像の品質や独自性は検索順位には直接的には影響しません。Googleのジョン・ミューラー氏も、画像の優位性について以下のように回答しています。
ウェブ検索においてはページ上の画像を、これはいい画像だ、これはつまらない画像だ、と判断することはないでしょう。
引用元:Google SEO オフィスアワー(10.22, 2021)
“画像検索”であれば画像の内容にも触れます。しかし、ウェブ検索では、グレーの四角だろうと、ビーチの写真であろうと気にしません。
とはいえ、これは直接的なSEOへの影響についてです。適当な画像を設置してユーザーが途中で離脱したり、画像検索でクリックされないようであれば、間接的には悪影響を及ぼす可能性があります。
画像の質にこだわらなくていいということではないので、そこは注意してください。
圧縮してサイズを小さくする
画像ファイルを「圧縮」すると、ファイルサイズをかなり小さくすることができます。(不要・視認できない情報を削除するため)
圧縮による画質の劣化は微々たるものなので、表示速度を落とさないためにも必ずやっておきましょう。


ちなみに、jpg や png の圧縮なら TinyPng が便利。
WordPress のプラグインを利用するなら、EWWW Image Optimizer や WP-Optimize がおすすめです。


画像に適した拡張子を使う
画像に適した拡張子 (ファイル形式) にすることで、画像をよりキレイに軽くすることができます。
ブログで主に使用する拡張子は以下の4つです。状況に合わせて使い分けましょう。
拡張子 | 特徴 | おすすめの使い方 |
---|---|---|
png | ・やや重い ・輪郭がはっきり出る ・透過処理ができる | イラスト、インフォグラフィック |
jpg | ・軽い ・上書き保存で劣化 | 写真、色数の多い画像 |
webp | ・軽い ・透過処理やアニメーションに対応 ・上書き保存で劣化 ・IE非対応 | 写真、アニメーション |
svg | ・コードで描くベクター画像 ・写真でなければ軽い ・拡大しても劣化しない ・透過処理やアニメーションに対応 | アイコン、シンプルな線画など |
なお、Google が推奨しているのは圧縮率が高くて軽い webp ですが、圧縮率を高くすれば画質はどうしても落ちてしまいます。そこまで画質にこだわらない画像のみ、Squoosh で webp に変換するのが良いでしょう。
レスポンシブ対応


どのデバイスで見ても画像がキレイに表示されるように、画像をレスポンシブ対応させましょう。
※WordPressや無料ブログの大半は自動でレスポンシブ対応しています
画像をレスポンシブ対応させる方法はいくつかあります。たとえば、”max-width” で画像幅の上限を設定したり、”srcset” でデバイス別に画像を出し分けることも可能です。
※参考:ウインドウ幅に合わせて画像サイズを変化させる方法
画像を拡大できるようにする


「もっと詳しく画像を見たい」と思って画像検索からアクセスしてくるユーザーのために、画像の拡大やポップアップ機能を実装しておきましょう。
スマホユーザーが多い・細かいインフォグラフィックをよく使用する、といったサイトには特に効果的です。
WordPressであれば Easy Fancy Box などのプラグインもあるので、ぜひ実装しておきましょう。
画像内に文字を入れる
Google の AI は画像内の文字も読み取れるため、文字を入れておけば AI が画像内容を理解しやすくなります。
画像内の文字の影響力はかなり強め。普通の画像に18禁ワードが入っていれば、アダルトコンテンツとして検索に表示されてしまうぐらいです。
また画像SEOだけでなく、ユーザビリティの観点からも画像に文字を入れるのは有効です。イラストや図に適切なコメントを入れておけば、コンテンツを理解するための手助けになるでしょう。
ただし、画像を見れないユーザーのことも考えて、以下のような対策は忘れず行いましょう。
- 画像の内容をテキストでも記載
- ALTタグを設定しておく
画像サイトマップでインデックスを促す
画像サイトマップは画像用のxmlサイトマップです。普通のxmlサイトマップにはページ構成を記載するのに対し、画像サイトマップには画像情報を記載します。
参考:画像サイトマップ|検索セントラル
画像サイトマップの書式は通常のxmlサイトマップとほぼ同じ。例えば、画像の設置ページ・URL・キャプション・タイトルを記載する場合は以下のようになります。
<url>
<loc>https://example.com/</loc>
<image:image>
<image:loc>https://example.com/wp-content/uploads/2022/03/cat-fight-dog.png</image:loc>
<image:caption>犬と喧嘩する猫の画像</image:caption>
<image:title>cat-fight-dog</image:title>
</image:image>
</url>
画像もインデックスされなければ検索結果に表示されません。画像サイトマップにはインデックスを促す効果があるので、画像検索に注力するなら用意しておきましょう。
なお、WordPressには画像サイトマップを自動生成するプラグインもあります。自分で作るのは大変なので、下記記事を参考にラグインで自動生成するのがおすすめです。


構造化データを使用する
構造化データに画像を記載しておけば、画像検索でリッチリザルト表示されることがあります。画像検索で対象としているのは、以下の 3 つの構造化データです。
なお、上記の3つはオーガニック検索においても機能する構造化データです。たとえばレシピの構造化データを使用すると、オーガニック検索ではレシピのリッチリザルトが差し込まれ、画像検索では対象の画像にバッジが付くようになります。


画像検索だけでなく、SEOにおいてもクリック率を上げる施策として有効なので、対象ジャンルの場合は構造化データの使用を検討してみてください。
構造化データに関しての詳細はこちらをご覧ください。
画像検索における構造化データの使用 – Google検索セントラル
画像専用のページを作成する
画像をメインコンテンツとする場合は、画像専用のページを作成するのが良いでしょう。Google のジョン・ミューラー氏もオフィスアワーにて、以下のように発言しています。
画像検索を重視するなら、画像毎に個別のページを用意するのが良い。
Googleオフィスアワー2021.11.5
ユーザーが画像のあるページへアクセスした際に、画像を前面に押し出したページに着地したなら、それは本当に(ユーザーの)役に立つ。なぜなら、私たちのシステムは、それを画像の良いランディングページだと認識できるから。
たしかにユーザーからしてみれば、自分の見たかった画像がすぐ見れるページは便利です。ユーザー登録や仕事の依頼へ繋がる導線を作っておけば、運営者側にもメリットあるページになります。


しかし、画像をきっかけとした “情報” を求めているユーザーも一定数いるはずです。また、ページを増やすことによるクロールバジェットやリンクジュースの消費などが懸念されます。
あくまで、ポートフォリオや素材配布・イラスト紹介などの、 “画像本体を見せたい時” に取り組むことをおすすめします。
まとめ
画像検索はオーガニック検索のおまけだと考えられており、画像検索だけでアクセスを稼ごうとするサイトも少ないため、体系化されていないジャンルでもあります。
しかし、画像SEOの施策はどれもユーザビリティを向上させるものばかりです。通常のSEOと同様に、ユーザー目線を大事にしていれば裏目に出ることはないはずです。